Thermal Performance of a Greenhouse Covered with Shading Material against Infrared Rays

1994 
温室の周年利用を促進するためには, 高温期における日中の温室内高温化の抑制を経済的に可能な方法で行う必要がある.しかし, この課題は十分に達成されていない現状である.そこで本研究では, 光合成に寄与しない赤外線を選択的に遮へいすることによって温室内高温化を抑えるとともに冷房負荷を軽減することを目的として, 近年開発された赤外線遮へい被覆材を用いた温室の熱的な特性を実測した.その結果以下のことが明らかとなった.1) 密閉状態下での供試被覆材による高温抑制効果は, 室内空気温度については最高でも5℃程度と比較的小さいが, 床面である土壌表面の温度には比較的大きく表れる.2) 室内空気に高温抑制効果が生じない原因は, 赤外線の吸収により被覆材が高温となることに起因して, 室内空気から被覆材への熱伝達が大幅に低下するためである.3) 換気窓を開放して自然換気を行う場合には, 室内空気温度は外気温に近づくとともに高温抑制効果もなくなるが, 土壌表面温度には比較的大きな効果が生じる.4) 植物体温の昇温抑制効果を調べるために, 秋季にサラダナの水耕栽培を行いその葉温を測定した結果, 葉温にも効果が生じ, 日射量の増加とともにこの効果は顕著となることがわかった.本研究により得られた知見をもとに, 冷房負荷の測定や栽培実験を行い諸特性を明らかにするとともに, 本被覆材を効果的に使用するための方策を検討することが必要である.本研究の遂行にさいしてタバイエスペック (株) および同社取締役事業開発部長小倉東一氏に種々のご援助と助言を賜ったことを記して感謝の意を表します.また卒業研究と関連して本研究に協力いただいた多くの本学部卒業生にあらためて謝意を表します.
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