Colonization of the imported Torymus (Syntomaspis) sinensis KAMIJO (Hymenoptera: Torymidae) parasitic on the chestnut gall wasp (Hymenoptera: Cynipidae). (6). A trend in the increase in the T. (S.) sinensis population in Kumamoto Prefecture.

1982年に熊本県大津町のクリ園に放飼されたチュウゴクオナガコバチは,放飼6年後まで1%以下の低い寄生率であったが,1989年以降寄生率は増加し始め1993年には17%に達した。しかしクリタマバチの密度には減少傾向が認められない。100ゴール当たり雌羽化数でみると,最高に達した1993年でさえ4.4頭に過ぎず,茨城県つくば市での放飼翌年の値と大差なかった。本放飼園におけるチュウゴクオナガコバチの増殖の遅延は,随意的高次寄生者の二次寄生による終齢幼虫期の高い死亡と定着個体群の低い雌比によるものであることが既に示唆されているが,性比は1991年以降正常値に回復した。この性比の正常化はその翌年以降の寄生率と100ゴール当たり雌羽化数の急速な増加と符合する。性比の正常化によって,本放飼園のチュウゴクオナガコバチは,今後クリタマバチの密度に影響を与えうる程度に個体群を増加させるものと推測される。