Hemoglobin A1 in chronic renal failure (2)

1984 
糖尿病性腎不全透析症例におけるglycosylated hemoglobinを, mini-column法, macro-column法, チオバルビツール酸法により検索し第1報において報告したが, 今回は非糖尿病性慢性腎不全透析症例のHbA1値についてイオン交換樹脂を用いた高速液体クロマトグラフィー (HPLC) 法により検討を加えた.非糖尿病性慢性腎不全透析症例 (HD群) 32名と健常者 (N群) 22名においてHPLC法によりHbA1a+b, HbA1c分画測定を行い, HbA1a+b/HbA1, HbA1c/HbA1各ratioを算出した. また, HD群において血糖 (PG), 尿素窒素 (BUN), クレアチニン (Cr), 尿酸 (UA) の各値を測定し, HbA1値と同時採血した各値, ならびに各々の過去1ヵ月間 (3-4回測定) の透析前後における測定平均値とHbA1a+bまたはHbA1c値との相関性を調べた.その結果, N群に比しHD群の方がHbA1a+b値, HbA1a+b/HbA1 ratioは有意の高値 (p<0.001), HbA1c値, HbA1c/HbA1 ratioは有意の低値 (p<0.001) であった. また, HbA1a+b/HbA1, HbA1c/HbA1各ratioは透析前後において差異は認められなかった. 一方, HbA1a+b, HbA1c値とPG, Cr, UA各値との間に相関性は認められなかったが, 同時採血したBUN値とHbA1a+b値 (p<0.05), ならびに過去1ヵ月間の透析前後の平均BUN値とHbA1c値 (p<0.01) との間には有意の正の相関関係が認められた.したがって, HD群ではN群に比しHbA1値におけるHbA1a+b分画の占める割合は大であり, HbA1a+b, HbA1c値とBUN値との間に有意の正の相関関係が認められたことより腎不全透析症例において腎不全状態がHbA1a+b, HbA1c値に影響を及ぼしていることが示唆された. 以上より, 慢性腎不全透析症例におけるHbA1値の評価にあたっては十分な配慮が必要であると考える.
    • Correction
    • Source
    • Cite
    • Save
    • Machine Reading By IdeaReader
    0
    References
    0
    Citations
    NaN
    KQI
    []