口蓋粘膜除去後初期におけるケラチノサイト,ランゲルハンス細胞,メルケル細胞およびメラニン産生細胞の再生

2010 
本研究は,口蓋粘膜における創傷治癒過程を,表皮内のケラチノサイトの増殖と分化,および基底膜の再生,ランゲルハンス細胞,メルケル細胞およびメラニン産生細胞の再生に焦点を当て検索した。ゴールデンハムスターが実験に使われ,上顎口蓋皺壁第4条部を弯刃刀にて骨膜を含み切除した。対照群および実験群の動物は,術後7,14,21日目に屠殺した。上顎骨を切除し,10%ホルマリンにて固定した。パラフィン切片が切られ,免疫組織化学染色を施した。免疫組織化学染色のために,一次抗体として,増殖細胞を標識するためにPCNAを,上皮分化を標識するためにCK14とCK13を,基底膜を標識するためにType IV collagenを,ランゲルハンス細胞とメラニン産生細胞を標識するためにS-100を,そしてメルケル細胞を標識するためにCK20を用いた。その結果,術後14日目に創部は完全に上皮に被覆されていた。CK14,とCK13の染色では,上皮の分化は21日までに辺縁部および中央部とも完全には再生しなかった。Type IV collagenは,14と21日例の中央部でいくつかの部にのみ観察できた。S-100,CK20陽性細胞は,21日まで辺縁部および中央部を問わず術後観察されることはなかった。以上の結果より,口蓋の創傷の治癒は肉眼的に治癒が完成していても,上皮の分化や基底膜の再生にはより多くの時間が必要であることが示唆された。ランゲルハンス細胞による免疫機能やメラニン産生細胞による防御機構は再生せず,メルケル細胞による感覚機能は少なくとも術後21日までは減少していることが示唆された。
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