門脈走行異常 (膵前十二指腸後門脈) を伴った胆管癌の1例

1995 
門脈の走行異常は極めてまれである. 今回, 門脈が膵頭前面で十二指腸後面を走行する胆管癌症例を経験したので, 門脈走行異常の発生学的な考察を加え報告する. 症例は66歳の女性で, 上腹部痛を主訴に来院された. 黄疸を認め諸検査より中下部胆管癌と診断した. 血管造影で門脈は膵頭部下縁で右方へ著明に偏位してL字型を呈し, 膵上縁で既に左右に分岐して肝臓に向かって曲折していた. 脾静脈は左門脈へ流入し, その流入部に腫瘍浸潤を認めた. 手術は門脈合併膵頭十二指腸切除を施行した. 門脈は膵前面, 十二指腸後面を走行し, 膵上縁で左右に分岐して肝十二指腸間膜内では胆管の腹側に位置していた. 門脈は消化器外科領域において臨床上極めて重要な血管であるが, 本症例のように門脈が胆管の腹側を走行することも発生学的に起こりうるので留意が必要である.
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