[Systemic lupus erythematosus associated with suggestive evidence of Factor IX inhibitor: a case report].

1984 
第IX因子活性の一過性低下を呈し,凝固抑制物質を検出しえた17才,女性の全身性エリテマトーデス(SLE)症例を経験した.患者は16才頃からレイノー現象と光線過敏症に気づいており,その後蝶形紅斑・発熱・鼻出血が出現し,奈良県立医科大学第一内科へ入院した.入院時検査成績では中等度の貧血と白血球減少が認められ,抗DNA抗体・抗核抗体・抗血小板抗体などがいずれも陽性ないし高値を示し,さらに血清補体価と細胞性免疫は減少ないし低下していた.加えてカオリン添加部分トロンボプラスチン時間(K-PTT)は中等度に延長し,血液凝固因子中第IX因子活性のみが40%に低下していた.血漿寒天内凝固法による凝固抑制物質の力価は血友病A inhlbitor血漿に換算すると20 Bethesda単位に相当した.現在のところ血友病以外に第IX因子に対する抑制物質の存在が推定された症例はきわめてまれで,われわれの調べた範囲でわずか26例にしかすぎない.その基礎疾患はおおむね自己免疫疾患で,そのうちSLEに合併した症例はわずか5例のみである.抑制因子の大部分はIgGに属する抗体とされているが,本例ではその免疫学的性状を明らかにしえなかつた.
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