Difficulty in Ventilating a Patient with the Right Aortic Arch in Laparoscopic Cholecystectomy

右側大動脈弓患者の腹腔鏡下胆嚢摘出術中に換気障害が発生した.症例は生来健康な77歳の肥満女性.麻酔導入,気腹開始時に問題はなかったが術中突然,換気不能に陥った.気管支鏡で拍動性腫瘤による気管閉塞を認めた.高い気道内圧で用手換気を続けたところ漸次改善し,無事手術は終了した.術後のCTで,右大動脈弓と下行大動脈に圧迫され気管軟化症が生じていたことが判明した.脆弱な気管に複数の因子(全身麻酔,筋弛緩,陽圧換気,気腹,仰臥位,輸液負荷)が総合的に作用し閉塞が生じたと推論した.先天性大血管異常は,無症状の成人患者においても重篤な換気障害を引き起こす可能性がある.