Invitro血液-脳関門モデルの創製−ヒトES細胞を活用する新たな試み
2010
血液 脳関門(BBB)は,薬物の血液から脳への移行を制限する生体内バリア機構である.創薬の現場では,この生体内バリアが関与する薬物の脳内移行性を知ることは重要である.とくに中枢神経薬の場合,薬物が“BBBを通過するかどうか”は開発の運命を左右する大きな位置づけをもつ.薬物の脳内移行性評価をヒトへの外挿性に乏しい動物実験に頼らざるをえない現状は,適正な候補薬の選択を制限することで創薬の成功確率を低下させ,また臨床開発段階以降の開発中止を招くなど,創薬研究開発(R & D)リスクを高めている.ヒト生体内のBBB機構を反映したin vitroモデルは,薬物の脳内移行性や中枢副作用の可能性を創薬プロセスの早期段階で予見できる評価ツールとして医薬品開発の効率化に貢献するものと考えられ,その誕生が期待されている.本稿では,こうした課題へのあらたな挑戦として,ヒトES細胞を活用したBBBモデル創製の取組みについて紹介する.
- Correction
- Source
- Cite
- Save
- Machine Reading By IdeaReader
0
References
0
Citations
NaN
KQI