CaO-Al2O3-SiO2-MgO系合成水滓の活性

1951 
本實驗結果より考察する限り次のような結論が得られた。(1) 純藥を用いCaO-Al2O3-SiO.-MgO系においてゲーレナイト等の各種化合物とそれらを結ぶ中間の組成に相當する調合物を, 酸素アセチレン焔を以つて熔融し, 水中に滴下させ完全ガラス化させた試料を得た。但しこの場合Zachariasenのガラズ式AmBnOのnが0.33以下のものと全くSiO2を含まないものとは完全ガラス化が出來なかつた。(2) これらのガラスを粉碎し, 各種刺戟劑を加えセメントとし小型モルタル壓縮強度試驗を行つた。Ca(OH)2を刺戟劑とする時ゲーレナイトガラスは著しく活性で刺戟劑の量と共に強度を増しゲーレナイトモルに對し約3.5モルの添加量の時 (重量で約50:50) 最高強度を示す。ウオラストナイトガラスやオケルマナイトガラスは活性に乏しく後者は自硬性を有するが微弱で刺戟劑によつても改善出來なかつた。(3) CS-C2S-C2AS系の組成のガラスについても各組成のものについて同樣の實驗を行つた結果, 組成とCa(OH)2の最適量, その場合の7日強度と28日強度の關係を示す式と圖を與えることが出來た。C2ASがa%, C2Sがb%, 従つてCSが (100-a-b)%の組成のガラスにおいて最高強度を與えるCa(OH)2の量を調合物に對する重量%で示せば49a+1b+11 (100-a-b)となりゲーレナイトの量と共に増大する。ゲーレナイトの28日強度287kg/cm2を活性度100とすれば任意の組成の水滓の28日強度で表し得る活性度は100a+96b+19 (100-a-b)となり, 7日強度で現し得る活性度は77a+96b+19 (100-a-b)となる。これから初期強度はゲーレナイトの量と共に著しく, 長期強度はC2C2AS線上で著しくなることがわかつた。(4) 結晶質のゲーレナイトは活性に乏しく, ガラスの1/5-1/10程度に過ぎず, この活性の低下は内部表面の減少によると考えられる。(5) 一方ポルトランドセメントを刺戟劑とする場合にはゲーレナイトガラスは不規則性を示し, 後者が少量の場合は寧ろ初期強度を増加するが, 後者が前者と等量以上になると長期においてさえ全く硬化出來なくなる。これから見てもゲーレナイトのように高アルミナのガラスは水和する際に大量のCa(OH)2を必要とすることがわかり, 充分刺戟劑が存在すればその優れた活性を發揮出來るが, 不充分の場合は性能を發揮し得ぬことを示すものである。ウォラストナイトガラス及びオケルマナイトガラスはポルトランドセメとトの量と共に強度を増し, 不規則的な現象は見られなかつた。附記本研究に當り, 文部省科學研究費の援助を得た。又多數の試驗片の熔融をお引受下さつた日本鋼管株式會社爐材工場長若林明氏及び貴重な文献を御貸與いたゞいた小野田セメント株式會社中央研究所長田中太郎氏に對し厚く感謝の意を表するものである。
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