[Factors that influence the serum of atrial natriuretic peptide and brain natriuretic peptide concentrations--is there a specific marker for senile patients?].
1998
老年者の予後推定因子の一つとしてナトリウム利尿ペプチド (ANP, BNP) がある. 男性54人 (83.7±8.3歳), 女性148人 (84.6±6.8歳) の老年後期が主の群で, 心臓超音波検査で心筋重量と僧帽弁波比 (A/E) を計測し, ANPとBNPの血中濃度を検討した. 平均でANPは正常の1.6倍, BNPは正常の約6.5倍であった. ANPとBNPへの影響因子を検討したが, 性差はなく, 調律では心房細動が, 洞調律よりANPとBNPが増加していた. 尿素窒素≦20mg/dlかつクレアチニン≦1.0mg/dlを満たす腎機能正常群に対し, 低下群ではANPとBNPが増加していた. 心肥大は左室心筋重量比が男性で111g/m2, 女性で106g/m2以上とした. 約50%の症例が心肥大で, ANPとBNPは増加していた. 対象の80%にA/E計測が可能で, その97%が左室拡張機能低下を示すA/E比>1であった. さらにEFが50%以上の左室収縮機能正常例の98%はA/E比>1であった. 62%に大動脈弁閉鎖不全が合併し, 左室伸展ストレスの増加も推定された. また左室肥大のない群で, 10歳毎の分類では, 75歳以上の群は65歳群に比べ腎機能では有意差を認めないにも関わらず, ANP, BNPが上昇する事から, 左室肥大や腎障害以外の要因が考えられた. さらにBNPは収縮機能正常, 洞調律, 腎機能正常, 左室肥大なし, 心不全 (NYHAIorII) の群でも加齢で上昇する事から, これら以外でBNP上昇をきたす老年者特有の要因があり, 多くの老年者に適合する左室拡張機能障害が一因と考えられた. 老年者のANPとBNPに影響を与える因子として心不全, 洞調律以外, 腎機能低下, 心筋肥大, 心拡大, 左室拡張機能低下が考えられた. 特に, BNPは心筋重量比と有意な正相関を示した.
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