Evaluation of autonomic functions in regular hemodialysis patients: Pathogenesis and management of orthostatic hypotension.

1991 
著者らは, 血液透析患者に認められる起立性低血圧の成因が, 交感神経, 副交感神経のいずれの自律神経障害に起因するかを明確にする目的で種々の自律神経機能検査を施行し, その検査成績をもとに起立性低血圧を有する患者の看護についても検討を加えた.対象は12症例 (男4例, 女8例) で, 年齢は25歳から75歳, 平均54.1±14.0歳である. 透析歴は平均39.4±49.7か月で, 原因疾患は慢性糸球体腎炎4症例, 糖尿病性腎症6症例, および原疾患不明2症例である. 自律神経機能検査として立位負荷試験, 寒冷昇圧試験, アドレナリン負荷試験, 硫酸アトロピン負荷試験を施行した. 立位負荷試験では起立性低血圧が認められた群7例 (Group 1) と認められない群5例 (Group 2) に大別された. Group 1では, 5例が糖尿病性腎症による腎不全症例で, その5症例はいずれも起立性低血圧出現時にも心拍数の増加を認めなかった. 寒冷昇圧試験ではGroup 1で, 低反応を示す症例が3例に認められた. アドレナリン負荷試験ではGroup 1で全例が過大反応を示した. アトロピン負荷試験ではGroup 1で口内乾燥が4例に認められた. これらの成績から起立性低血圧の成因として交感神経節後線維の障害が示唆されたが, 副交感神経系の異常も考慮する必要がある. 起立性低血圧を認めた7例の患者に対して, 自己管理ノートの作成と緩徐な体位変換を指導・教育した結果, 自覚症状の出現頻度は減少した. 血液透析中, 頻回に血圧測定を行った結果突然のショック状態の発生を早期に発見し, 病状への対処が容易であった. さらに, 交感神経系の障害が考えられた症例に対してα1刺激薬剤の投与を試みたところ, 起立性低血圧の症状改善が得られた.
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