血液透析患者および透析施設医療従事者におけるC型肝炎ウイルス抗体 (HCV抗体) の検出

1990 
輸血に由来する非A非B型肝炎患者血中に比較的特異的に検出されるC型肝炎ウイルス (HCV) 抗体の測定キット (Ortho社製ELISAキット) を用いて, 血液透析 (HD) 患者140名と透析施設の医療従事者32名のHCV抗体を測定し, B型肝炎ウイルス (HBV) の感染率と比較した.HD患者140名中, 30名 (21%) がHCV抗体陽性であった. HCV抗体の検出率は輸血量と有意の関連を示し, HD期間とは相関傾向を認めた. HD患者のHCV抗体検出率はすでに報告のある本邦の供血者 (1.2%) に比して著明に高く, また, 欧米のHD患者 (1-20%) に比べ高い. HCV抗体は4名の輸血歴のない患者においても陽性であった. HCV抗体陽性者のHBVマーカー陽性率は37%, HCV抗体陰性者のそれは37%で有意差を認めなかった. HCV抗体陽性者の慢性肝障害患者の出現率は40%であり, HCV抗体陰性群の14%に比して, 有意に高率であった. 透析医療従事者32名のうち, HCV抗体は輸血歴のない2名 (6%) で検出された. これは他の医療従事者の検出率 (約3%) に比して高い.以上より, HD患者はC型肝炎のhigh risk groupであり, 主として輸血により感染することが示唆された. 透析従事者のHCV抗体検出率も他の医療部門従事者に比べ高いことが示唆された. したがって, HCVはHD患者および透析医療従事者では感染の危険が高く, 感染予防対策を確立することが必要である.
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