[Effects of TJN-101, a lignan compound isolated from Schisandra fruits, on liver fibrosis and on liver regeneration after partial hepatectomy in rats with chronic liver injury induced by CCl4].

1987 
四塩化炭素(CCl4)を長期間投与することにより作製した慢性肝障害ラットを用い,五味子リグナン成分TJN-101の肝線維化ならびに肝部分切除後の肝再生におよぼす作用を検討した.CCl4反復投与による肝線維化の進展過程を投与開始後6,9および12週目において調べたところ,血清トランスアミナーゼ活性の上昇ならびに肝4-ヒドロキシプロリン量の増加がCCl4の投与期間に応じて認められた.これら生化学パラメーターの変化は9週目以降でとりわけ大きく,6週目では脂肪肝の状態であるが,9週目で明瞭な線維の増生,12週目で半数が肝硬変像という肝組織所見をよく反映していた.1)CCl4を12週間にわたって投与した慢性肝障害ラットにおいて,TJN-101は10~30mg/kg!day,P.o.のcCl4投与後7週目からの6週間投与あるいはCCl4投与後10週目からの3週間投与で生化学的には血清トランスアミナーゼ活性の上昇ならびに肝4-ヒドロキシプロリン量の増加を用量依存的に抑制するとともに,肝総蛋白質量や肝糖質量の減少を軽減させ,組織学的にも肝線維化を用量に依存して抑制した.2)肝部分切除後の肝再生におよぼすTJN-101の作用をCCl4を10週間にわたって投与した慢性肝障害ラットを用いて検討したところ,TJN-101は30~100mg/kg/day,p.o.の術後1日目からの6日間投与で肝再生率を用量依存的に増加させるとともに,低下したBSP排泄能を改善した.以上の結果から,TJN-101は慢性肝障害において肝線維化の亢進を抑制するとともに,低下した肝蛋白質合成能や糖質代謝を改善し,肝部分切除後の肝臓の修復・再生を促進させる作用を有することが明らかとなった.
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