5年間無症状で経過している老年者 idiopathic plasmacytic lymphadenopathy with polyclonal hyperimmunoglobulinemia (IPL) の1例とその免疫学的検討

1987 
70歳, 女性. 1981年3月著明な赤沈の亢進と高γグロブリン血症の精査目的で入院. 身体所見は両側頚部, 腋窩部のリンパ節腫大を除き異常はなかった. 赤沈149mm/hr, Hb11.5g/dl, WBC5,400, Plt13.3万. TP9.8g/dl, Alb38.0%, α13.0%, α27.8%, β8.0%, γ43.2%, IgG6,240mg/dl, IgA172mg/dl, IgM96mg/dl. 免疫電気泳動でIgGの多クローン性増加を認めた. CRP (-), RA (-), ANA (-), anti-DNA (-). 骨髄では異型性のない形質細胞の軽度の増加がみられた (8.6%). 左腋窩部リンパ節の生検組織像では軸索を中心に著明な形質細胞の増生が認められたが, 構造破壊はなかった. 無治療のまま経過観察していたが, 1985年6月IgGの増化傾向を認めたためプレドニソロンの経口投与 (25mg/day) を試みたところ, IgGは一過性に減少した. その後無治療であるが特に症状の出現や検査所見の増悪はみられない. リンパ節単核細胞は52.8%がEロゼット陽性のT細胞で, 表面γ, κ, λ鎖陽性細胞はそれぞれ39.2%, 13.5%, 11.0%であった. このことはIgG産生細胞の多クローン性増殖を示唆し, また組織のPAP染色の結果とも一致した. In vitro での末梢血液リンパ球のIgG, IL-2産生能はそれぞれ正常対照者に比べ亢進していた. 単クローン性抗体を用いたリンパ球細胞表面形質の検索結果は次の通りであった. OKT8+, Leu2a+/Leu15+(suppressor), Leu4+/HLA-DR+(activated T) 細胞は減少し, OKT9+, OKT10+, OKIa1+, HLA-DR+, Leu7-/Leullc+ (natural killer) 細胞は増加していた. 末梢血液単核細胞による, in vitro でのIgG産生能は亢進していたが, 末梢血液中では表面γ鎖陽性細胞の増加はみられなかった. PHA, Cor-A, PWMに対する反応性は正常であった. IPLの既報告例のほとんどが40歳以下の若年層であり, 通常は肝・脾腫が認められるが, 本例は70歳の高齢者であり肝・脾腫がないことなど, 様々な相違点がみられた.
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