2-(5H-(1)benzopyrano(2,3-b)pyridin-7-yl)propionic acid(Y-8004)の薬理学的研究(第1報)a)抗炎症作用ならびに鎮痛・解熱作用

1975 
新規化合物Y-8004〔2-(5H-〔1〕benzopyrano〔2,3-b〕pyridin-7-yl)propionic acid〕の抗炎症作用を既知抗炎症薬と比較検討した。Y-8004はcarrageeninおよびkaolin浮腫を特異的に抑制し,そのED50はそれぞれ1.08,9.86mg/kg p.o.で,indomethacin(IM)と同程度かそれを凌ぐ効力であった,しかし,dextranおよびeggwhite浮腫に対してはIMと同様に弱い効果を示すにすぎず,抗アレルギー薬のcyproheptadineとは異なる性質を示した.紫外線紅斑法,ラットを用いたevans blue-carrageenin胸膜炎法およびWhittle's法に対しても,Y-8004は0.1~1mg/kg p.o.の用量で明らかな抑制作用を示し,IMを凌ぐ効力であった.一方,cotton pellet法およびadjuvant関節炎に対する予防実験では,Y-8004は1mg/kg p.o.以上の用量で明らかな抑制作用を示し,IMと同程度であったが,granuloma pouch法ではIMの1/2の効力であった.また,Y-8004はIMと同様にkaolin浮腫およびadjuvant関節炎に対して治療効果を示した.しかも,Y-8004にはglucocorticoid様の作用はなく,また下垂体-副腎系を介する作用も認められないことから,Y-8004の抗炎症作用はそれ自身の直接作用によるものと考えられた.さらに,Y-8004は硝酸銀関節炎法,Randall-Selitto法およびphenylquinone法などの炎症性痔痛に対して0.5~5mg/kg p.o.の用量で鎮痛作用を示し,その機序はIMと同様に末梢性と考えられた.また,Y-8004はTTG発熱ウサギにおいて10mg/kg p.o.で解熱作用を示した.Y-8004の消化管障害作用はラットで主に空腸,回腸部に認められるが,潰瘍惹起作用と抗炎症作用を示す用量がIMよりも分離していた.これらの成績から,Y-8004は非ステロイド性抗炎症薬の範ちゆうに属し,その安全域はIMよりも広く,抗炎症薬として臨床的に有用であろうことが示唆された.
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