An Elderly Patient with an Insulinoma Who Had Prolonged Dementia-like Symptoms.

1998 
77歳女性. 主訴: 物忘れ. 2年前より次第に痴呆様症状が出現. 初診時, もうろう状態を呈していたが, 改訂長谷川式簡易知能評価スケール (HDS-R) が12点であることと血糖値34mg/dlと低値である以外著変なし. 頭部MRIでは両側前頭葉白質および基底核に小梗塞巣散在. 入院後ブドウ糖の点滴を行ない血糖値の改善を認めたが痴呆様症状は改善せず, 管理困難のため退院となった. 退院後も痴呆様症状および不随意運動を認めたが空腹時とは限らなかった. 半年後再入院. 内分泌検査でインスリン・血糖比が0.3以上と高値を示し, 腹部エコーで膵尾部に1cm大の腫瘤を認めた. 再入院2カ月後に膵尾部切除術施行. 腫瘤には抗インスリン抗体で強陽性を示す腫瘍細胞の増殖を認め, インスリノーマと診断された. 術後20日後でも脳波に徐波混入がめだった. 1カ月後より精神症状の改善を認め, 40日後にHDS-R27点と正常範囲に復した. 5カ月後の脳波では徐波が著しく減少した. この症例で認められた痴呆様症状は Wieck の通過症候群と考えられた. 通過症候群は意識障害の回復あるいは増悪期に一過性に認められ, インスリノーマを含め, 高齢者の身体疾患に伴って出現することがあり, 痴呆に類似した症状を示すが治療可能である. 本症例はインスリノーマによる痴呆様症状が著明改善した1例と考えられる.
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