関東平野内陸部,吹上~行田地域における中・上部更新統の地下層序と堆積環境変化

2009 
埼玉県鴻巣市(旧吹上町)および行田市で掘削された2本のボーリングコア(吹上コア,行田コア)を用い,関東平野内陸部における中期更新世以降の地下層序を明らかにした.ボーリングコアの層相を記載し,粒度・礫種構成比・電気伝導度・全硫黄含有率・帯磁率を測定した.両コアは礫層とシルト~砂層主体の細粒層の繰り返しで構成される. 14C年代やテフラ・花粉分析結果に基づき,礫層と細粒層のセットを海洋酸素同位体ステージ(MIS)と対比した結果,これらの層相変化は,礫層を基底とする一連の海退—海進サイクルに伴う堆積環境変化を示していると考えられる.両コア周辺の地質断面図を作成し,時代ごとの層相の側方変化ならびに古地理を考察した.MIS 11およびMIS 9の海進時には,海域が鴻巣市・行田市以北にまで拡大し,海進最盛期以降は吹上には海浜が,行田には浅海底を埋積するデルタが形成されていたと推定される.また,吹上コアの礫層は,行田コアと比べて層厚が大きく,礫径も大きい.2本のコア間で認められる層相の地域差は,関東山地からの距離や利根川・荒川などの河川流路との位置関係の相違を反映すると考えられる.
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