The Characteristics and Symptomatological Evaluation of Hyperventilation Syndrome in Critical Care Settings

2004 
救急医療における過換気症候群(HVS)と精神障害との関連については十分に検討されていない。今回われわれは,救命救急センターにおけるHVS患者の頻度,背景およびその精神症状について調査し,精神科医のかかわり方について検討した。対象は2002年4月1日から2003年8月31日までに岩手県高度救命救急センターを受診したHVS患者116例で,そのうち精神科既往のある(既往あり)患者26例とそれ以外の(既往なし)患者39例について,受診時に精神科医が精神症状評価を行った。HVS患者は救命救急センターの外来総件数のうち男性で0.7%,女性で4.6%を占めた。男女とも20歳代にピークが認められた。国際疾病分類第9改訂版の主診断によると半数以上が「精神障害」であった。総合評価尺度GASでは既往あり患者で全例,既往なし患者の64%が70点以下と精神症状による生活能力の低下が認められた。簡易精神症状評価尺度BPRSでは,既往あり患者は心気的訴え,不安,緊張,抑うつ気分で,既往なし患者では不安,抑うつ気分で半数以上に軽度以上の症状が認められた。ハミルトンうつ病評価尺度HRS17項目版合計得点では既往あり患者の69%,既往なし患者の31%で16点以上のうつ状態を示した。HVSに合併する国際疾病分類第10改訂版の精神疾患診断では,ストレス関連性障害は既往あり,既往なし患者の平均で約4割,気分障害は両群とも約2割を占めていたが,パニック障害は両群とも8%であった。HVS患者は救急外来で比較的多い疾患であり,精神医学的に特徴的な像を示し,不安に加えてうつ症状が顕著であることが明らかとなった。結論として,救急医療の場でHVS患者を救命救急センターで診療する場合,ストレス・マネージメントおよびうつ病の早期発見,治療という観点から対処が必要であり,そのためには初診時より精神科専門医の診療参加が望ましいと考えられた。
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