An Operative Case of Solitary Metastatic Carcinoma of the Small Intestine Presenting as Small Bowel Obstruction 4 Years and 9 Months after Curative Resection of Gastric Carcinoma

症例は82歳の男性で平成10年10月胃癌に対し幽門側胃切除術を施行された. 平成15年7月腹痛が出現し近医で腹部単純写真上, 鏡面像を指摘されイレウスの診断で紹介入院となった.CT・小腸造影で回腸に腫瘍性病変を認め原発性あるいは転移性小腸癌と診断し手術を施行した. 癌はS状結腸および膀胱に浸潤しており, 空腸部分切除術およびS状結腸・膀胱壁を一部合併切除した. 癌の主座は小腸漿膜と膀胱との間に存在し前回切除標本の病理所見と強い類似性を認め胃癌の転移性小腸癌と判断した. 転移性小腸癌は腹腔内臓器の悪性腫瘍の直接浸潤, 腹膜播種による多発転移の場合が多く, 本症例のように胃癌切除術後の孤立性転移性小腸癌の臨床報告例はわずかである. 孤立性転移性小腸癌は穿孔, 腸重積, 腸閉塞等の急性腹症として発症することが多い. 孤立性転移性小腸癌により腸閉塞を来したまれな症例を経験したので文献的考察を加え報告する.