慢性血液透析患者に対するrecombinant human erythropoietin (rh-EPO) の皮下投与

1993 
我々は, 慢性血液透析患者の貧血に対するrh-EPO皮下維持投与の効果を検討した. 対象症例は, すでにrh-EPO静脈内投与により, 貧血がある程度改善, 維持されている14例 (Hb 8.98±0.81g/dl) である. rh-EPOを週1回の皮下投与に変更し, その投与量は, 原則としてそれまでの静脈内投与量の1/2量とした. 観察期間は, 8週間とした. また, rh-EPO 3,000 IUまたは1,500 IUを皮下投与し, 血中EPO濃度の推移を1週間観察した. 有効性を評価するために, 皮下投与前に比べ, 4週目, 8週目のHb変化率 [Hb (4W or 8W)/Hb (投与前)×100%] が98%以上の例を維持群, 97%以下を非維持群とした. 皮下投与によりHb値の維持が可能であった維持群は, 14例中11例 (78.6%) で, これら11例のrh-EPO投与量は, 静脈内投与時の平均3,545 IU/Wから皮下投与時平均2,182 IU/Wへと38.4%の減量が可能であった. 非維持群では, 総コレステロール, 血清アルブミン値の低下を認めた. 4週目および8週目の血中EPO濃度変化率 [4週目 (8週目) のEPO濃度/皮下投与前のEPO濃度×100%] は, 維持群のほうが非維持群に比し有意に高値を示した (それぞれp<0.05, p<0.01). したがって, rh-EPO皮下投与法においては, 血中EPO濃度変化率が貧血改善効果の指標となりうることが示唆された. 一方, rh-EPO 1,500または3,000 IU皮下投与後の血中rh-EPO濃度の推移をみると, 投与後3日目までは投与前値よりも有意に高値を示し (p<0.05), 平均値でみると投与後5日目までは投与前値よりも高いレベルを保っていた. 以上のことより, rh-EPOの皮下投与が有効かつ投与量の減量可能な理由は, 経静脈内投与の場合より, 血中EPO濃度が長期間高いレベルに保たれるためと考えられた.
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