An elderly case with sarcoidosis whose symptom of dementia was effectively treated by steroid

2002 
痴呆症状にステロイドが著効した高齢者サルコイドーシスの1例を経験した.症例は, 74歳女性で, 10年来高血圧にて近医で治療を受けていた. 1年ぐらい前から, 物忘れを指摘さ れていたが入院前1カ月から症状が急速に悪化したため入院となった.入院時理学的所見では, 異常所見は認めず, 神経学的所見も, 両側 Babinski 徴候陽性以外に特記する所見は認められなかった. Mini-Mental State Examination (MMSE) は17/30点と低下し, 見当識障害と記銘力の低下を認めた.視野異常を訴えたため, 眼科を受診し両側葡萄膜炎と診断されたことをきっかけにサルコイドーシスを疑い, 諸検査を施行した. 胸部レントゲン写真では, 縦隔リンパ節腫脹が見られた. 頭部CTとMRIでは多発性ラクナ脳梗塞を認める以外異常を認めなかった. 脳造影MRIでは特異的な所見を認めなかった. 67Gaシンチグラフィーでは, 胸部に高吸収域を認めた. 髄液検査では, 蛋白量の増加, 脳波ではθ波~δ波が頻回の出現を認めた. ツベルクリン反応は陰性, 血清ACE値は高値であった. また, 確定診断の為, 右前斜角筋よりリンパ節生検を実施しサルコイドーシスと確定診断した. 入院後痴呆症状は急速に進行し, 入院時には17/30点であったMMSEの得点が, 30日後には7/30点へ低下した. 神経サルコイドーシスによる痴呆症状を疑いプレドニン (50mg/日) の内服投与を開始した. 治療開始1カ月後より各種検査所見は改善し, それとともに見当識の改善などがみられる様になった. その後, ステロイドを徐々に減量したが経過は良好で痴呆症状も徐々に改善しMMSE20/30点にまで改善した.文献的には高齢者のサルコイドーシスで痴呆症状を呈することは比較的に稀ではあるが, ステロイド投与によって症状の改善が期待できる疾患であり, 鑑別診断のひとつとして重要であると考えられた.
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