Gd-EOB-DTPA 造影MRI 検査により診断し得た肝細胞癌の1 例

2009 
症例は75 歳,女性。2005 年3 月の腹部造影CT 検査で,肝S8 に18 mm 大の内部に早期濃染像を示す腫瘍が認められたために当院内科に紹介された。AFP は軽度上昇していたが,腹部単純MRI 検査でも高濃度域を呈しており,肝血管腫と診断され,経過観察となった。しかし2008 年4 月の腹部造影CT 検査で,肝S8 の同腫瘍の近傍に16 mm 大の早期濃染を示す腫瘤を認め,門脈相でwash-out されていたために肝細胞癌(HCC)が疑われ,当科紹介となった。Gd-EOB-DTPA を用いたMRI 検査の肝細胞相で肝血管腫と考えられていた腫瘤は,低濃度域を呈し,単純MR 検査の結果と併せて考えると脂肪成分を含んだHCC が疑われ,新発生の腫瘤は高濃度域を呈し,胆汁排泄障害を伴ったHCC が疑われた。以上より,質的診断を含めて肝S8 部分切除術を施行した。切除標本には二つの腫瘍以外に両者に挟まれるように7 mm 大のHCC が認められた。前二者の腫瘍は高分化型HCC で,切除時に発見された腫瘍は中分化型HCC であった。本症例のようにGd-EOB-DTPA を用いたMRI 検査を加えることにより腫瘍の特徴の診断が可能であり,さらなる診断技術の向上が期待できると思われた。
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