ヨトウガ中腸上皮細胞の刷子縁膜への UDP-N-acetylglucosamine の結合

1986 
ヨトウガ終齢幼虫の中腸上皮細胞より刷子縁膜を調製し, 14C-UDP-N-acetylglucosamine (UDP-AGA) との結合について検討した. 14C-UDP-AGAと刷子縁膜の結合の至適pHは7.0であった. この結合は polyoxin Dによって強く阻害されること, および刷子縁膜を用いて in vitro でキチンが合成される事実から, この結合はUDP-AGAとキチン合成酵素 (C. S.) の結合であろうと考えられた. 刷子縁膜によるキチンの合成は15~25℃の温度範囲内では, 温度が高いほど合成されるキチンの量は多いが, 14C-UDP-AGAと刷子縁膜の結合はむしろ低温のほうが高い. これはC. S. が14C-UDP-AGAと結合し, それをすみやかに primer に転移し, その turnover が高温ほど速いためであろうと考えられた. 刷子縁膜に polyoxin Dを加えると, 結合の約90%は阻害されるが, なお14C-UDP-AGAとの結合能を残している. この結合の至適pHは7.5で, 反応開始後比較的短時間 (5分) で結合は最高値に達する. 以上の結果から, 刷子縁膜にはC. S. 以外にUDP-AGAと結合する物質があると考えられた. しかし, 結合する14C-UDP-AGAの量が少ないため, その物質が UDP-AGA transporter であり, その transporter を diflubenzuron が阻害していると結論を出すまでには至らなかった.
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