高速実験炉「常陽」性能試験報告書 : 高出力炉雑音特性第3報

1981 
75MW出力上昇試験時に炉雑音測定を行い,主に中性子束信号のAPSDにおけるピークの存在および5times10times-3sim7times10times-2HZの周波数帯域で検出器位置の異なる中性子束信号間の相関が小さいという現象について検討を行った。また,最初の75MW出力上昇時に発生した異常反応度現象に伴ってこの現象の前後で炉出力50MWでの出力係数が変化しており,このため炉雑音特性も変化していると予想できる。この経時変化を調査し,その結果を用いて上述の中性子束信号に関する現象の検討を行った。炉雑音解折の結果,以下の事柄が明らかになった。中性子束信号間の相関が小さいという現象については,この現象の定量的検討および炉雑音特性の経時変化の検討の結果,この現象は中性子束ゆらぎの空間依存性によって生じていることがほぼ明らかになった。炉雑音持性の経時変化については,中性子束信号間のコヒーレンス関数,原子炉入口温度-中性子束信号間の伝達関数(ゲイン)などに経時変化が見られ,これらの現象間の対応づけもほぼ得られた。この結果,異常反応度による出力係数の変化に伴って中性子束ゆらぎの空間依存性の強さが変化していることがほぼ明らかになった。中性子束信号のAPSDのピークについては,この中性子束ゆらぎは炉固有のゆらぎであり,炉心構成要素の移動によって発生していると推定した。これに基づき,炉心集合体の移動を伴ったラッパ管の熱わん曲量と中性子束間の共振現象を仮定した。
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