照射後下咽頭癌に対する,内視鏡的咽喉頭手術(ELPS)による喉頭温存の可能性

2006 
放射線療法を施行した後に再発・残存した下咽頭癌,または放射線照射後に二次性に生じた下咽頭癌(以下,照射後下咽頭癌)の4症例に対して,内視鏡的咽喉頭手術(ELPS)による経口的な病変切除術を施行した。いずれも喉頭摘出拒否例であった。彎曲型喉頭鏡による喉頭展開によって両側下咽頭から食道入口部を一望できる良好な視野が得られた。また,拡大内視鏡やNBI拡大内視鏡によって,ヨード染色性の低下した照射後の粘膜においても病変の詳細な領域診断が可能であった。3例は病理組織学的に完全摘出が可能であり,1例は深部断端が陽性であったが,再度ELPSを行なうことによって完全摘出が可能であった。ELPSは,声門上部や放射線照射後の瘢痕部などのEMRでは切除が困難な部位でも切除が可能であり,筋層や軟骨膜を確認しながら病変を切除することが可能であった。また,病変の一括切除が可能であるため,切除断端の病理学的評価が容易であった。超音波内視鏡の導入によって今後さらに詳細な深達度評価ができる可能性があると思われた。極めて小さいうちに発見された照射後下咽頭癌は,まずはELPSなどによる局所切除を施行し,その病理結果によって追加治療の要否や喉頭温存の可否を再検討できる可能性があると思われた。
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