Chemical Features of Major Constituents in Winter-precipitation along the Sea of Japan on Honshu Island, Japan.

1996 
全国公害研協議会が1991年4月から1994年3月に実施した全国酸性雨共同調査において,炉過式採取法によって日本国内120数地点で得られた降水成分測定値から,本州日本海側地域における冬季(1,2月)降水成分の化学的な特徴について検討した.冬季の本州日本海側地域は降水量が多くpHは他地域よりやや低い.また,強い北西季節風の影響で日本海からの海塩成分沈着量が多い.降水量が多いにもかかわらず,nss-SO42-濃度は全国平均値程度である.NO-3濃度は全国平均値より低く,降水の酸性化にはnss-SO42-の寄与が大きい。中和成分のnss-Ca2+とNH4+は全国平均値より低濃度である.特にnss-Ca2+は平均値の0.54倍となっており,このnss-Ca2+が低濃度であることが残存する酸濃度を高め,pHを平均値以下としている原因と考えられる.降水量は平均値の約1.9倍であることから,Ca2+およびnss-Ca2+を除き,多くの成分の沈着量は全地域中最も多い.日本海側地域の中でも山陰西部は,これらの特徴とやや異なり九州北部地域の特徴に近似したものとなっている.
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