受傷から26日目に横隔膜損傷・血胸・出血性ショックを来した肋骨骨折の1例(A case of diaphragm injury, massive hemothorax and hemorrhagic shock occurred 26 days after fracture of ribs)

2016 
要旨 症例は既往・内服歴のない56歳の男性で,搬入26日前に転倒し近医で胸部レントゲンを撮影され右肋骨骨折と診断されていた。保存的治療が選択され外来で経過観察されていたが,ワインボトルを開栓しようとした際に突然胸痛と冷汗が出現したため当センターに救急搬送された。搬入時はショックバイタルであり,胸部CTで右第9–11肋骨骨折と大量の胸腔内液貯留を認め大量血胸・出血性ショックと診断した。血管造影検査で肺動脈・第8–11肋間動脈からの造影剤漏出像を認めなかったが,2時間後に再検した胸部CTで血胸の増悪を認めていたため,直ちに胸腔鏡補助下で開胸手術を行った。術中所見では横隔膜損傷と同部位から動脈性の出血を認めており,肋骨骨折の治癒過程で横隔膜と癒着し,腹圧がかかったことで裂離し出血を来したものと推察された。術後経過良好であり,術後9日目に軽快退院となった。肋骨骨折において遅発的に血胸を認める症例報告の多くは肋間動脈からの出血であり,当症例のように横隔膜損傷に伴う血胸の報告は稀であるため,報告する。
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