MRCPにおける経口消化管造影剤“フェリセルツ散20%”の 陰性造影効果を評価する臨床試験(2)―第III相試験

2010 
本剤は,1 包(3 g)中にクエン酸鉄アンモニウムとして 600 mg を含有する散剤である.MRCP 撮像を予定している患者を対象に,投与群の用法・用量を“本剤 2 包を 150 ml の水で溶解して経口投与”とし,対照群は無投与群(本剤を投与せずに MRCP 撮像する群)とした.本剤投与前及び投与後に MRCP 撮像した 40 例のうち,本剤投与前の MRCP 画像フィルムが得られなかった 1 例を除く39 例を有効性解析の最大解析対象集団とした.これらに有効性評価にかかわる逸脱はなく,計画書遵守解析対象集団も同一集団となった.本剤投与前の MRCP 画像フィルムを無投与群として評価に用いた. 本剤投与前後に MRCP 撮像を行った.MRCP 画像フィルムを盲検化し,治験責任医師及び治験分担医師から独立した有効性評価委員会において胆道・膵管描出能判定基準に従って MRCP 画像フィルムを 1 枚ずつ評価した.胆道・膵管描出能判定基準は,“3”“2”“1”及び“0”の 4 段階とし,“3”及び“2”を“有効”とした.有効性評価委員会による評価結果(以下,委員会判定)により投与群及び無投与群の有効率を算出し,投与群の無投与群に対する優越性の検証を有効性評価項目の主たる解析とした.副次的解析として本剤による MRCP における描出能向上率を算出した. 本剤の胆道・膵管描出能に対する委員会判定の有効率は,投与群が 97.4%(38/39 例,95%信頼区間:86.5~99.9%),無投与群が 0.0%(0/39 例,95%信頼区間:0.0~9.0%)であった.投与群及び無投与群における有効及び有効以外の例数の分布について,McNemar 検定(両側,有意水準 5%)を行った結果,投与群の優越性が統計学的有意差をもって示された(p <0.0001). 副次的解析として,本剤による描出能向上率を算出した結果,最大解析対象集団における本剤による描出能向上率すなわち投与後の判定が投与前の判定を上回る例数の割合は,97.4%(38/39 例)であった. 安全性においては,本剤が投与された 40 例中 16 例(40.0%)25 件の有害事象が発現し,そのうち8 例(20.0%),8 件が本剤との因果関係が否定されず副作用と判断された.重篤な有害事象,死亡及び他の重要な有害事象は発現しなかった. 本剤の消化管信号低減能による胆道・膵管描出能について投与群(本剤 2 包を 150 ml の水で溶解して投与する群)の無投与群に対する優越性が検証され,本剤の陰性造影剤としての有効性が証明された.安全性においても特に問題は認められなかった. これらのことより,陰性造影剤として本剤を使用する際は,本剤 2 包(クエン酸鉄アンモニウムとして 1,200 mg)を 150 ml の水に溶解して投与する方法(用法・用量)が適切であると考えられた.
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