抗リン脂質抗体陽性全身性エリテマトーデスに合併したaortic root aneurysmに対しFreestyle人工弁にて大動脈基部再建を施行した若年女性の1例

2005 
抗リン脂質抗体陽性の全身性エリテマトーデス(SLE)に合併したaortic root aneurysmに対してFreestyle人工弁を使用して大動脈基部再建術を施行した若年女性の症例を経験した.症例は32歳,女性.1997年,胸部不快感を自覚した.精査にて大動脈弁逆流を伴う大動脈基部の拡大を指摘された.2001年7月大動脈の拡大傾向を認めたため,手術適応と判断され当科へ紹介となった.既往歴として17歳時にループス腎炎にてSLEを発症し,以後15年間,ステロイド治療を継続中であった.自己抗体検査にて,ループス型抗凝固因子陽性,抗cardiolipin抗体IgG抗体が検出された.心臓超音波検査にて大動脈弁逆流はIII度,胸部CT・MRIにて大動脈基部は最大60mmと拡大し洋梨状を呈していた.術式として大動脈基部再建術が適当と考えられた.本症例は若年女性で将来の妊娠を希望していた.機械弁の使用は避け,生体弁を選択する必要があった.このような状況では,FreestyleTMによる大動脈基部置換は妥当な手術方法の一つであると考えられた.
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