高速炉用被覆粒子型燃料の被覆層材特性に関する検討(その2); TiNの高温特性・厚膜化検討

2002 
「ヘリウムガス冷却被覆粒子型燃料高速炉」は、実用化戦略調査研究における候補概念の1つと考えられ、現在設計研究を進めているところである。この炉概念の成立性を大きく左右する要素技術の一つとして被覆層材料が挙げられ、耐熱性に優れたセラミックスが候補として考えられている。現状の知見の範囲では強度層材としてTiNが候補となりうると考えており、基礎的な試験・評価を実施しているところである。今回の検討では、TiN被覆の高温特性、厚膜化特性等に関する基礎試験を行い、以下の結論が得られた。(1)PVD(Physical Vapor Deposition)とCVD(Chemical Vapor Deposition)で蒸着した2種類のTiN被覆試料について高温加熱試験を実施し被覆状態を観察した結果、CVD蒸着試料については、2,000circCまで顕著な異常が生じていないことが認められ、実機相当の高温まで適用の可能性を有すると判断した。一方、PVD蒸着被覆については、2,000circCでの加熱により被覆が網目状に変形する異常が認められ、適用に課題を有するものと考えられる。(2)TiN被覆の厚膜化の可能性を探るべく、CVD蒸着装置内の治具に積層蒸着されているTiN被覆を調査したところ、500mumに達する膜厚被覆の形成が認められた。このことから、CVDはTiN厚膜蒸着技術として有望であると考えられる。
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