Thermoresponsive polymer-mediated preconcentration for trace analysis.

2003 
温度感応性高分子を用いる新規な分離濃縮法につき,基礎及び応用の両方面から系統的に研究を行った.ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)やポリビニルメチルエーテルなどの水溶性高分子は,臨界温度(約32℃)以上で水に不溶性となり,ガム状沈殿を生成した.この際,高分子凝集相には,水中の疎水性有機化合物が効率的に取り込まれ,一方,親水性化合物は水溶液中に残存した.凝集相への抽出程度は,化合物の疎水性が増すほど増大した.なお,凝集相体積は極めて小さいため,100倍濃縮が容易に達成できた.各種金属イオンも,8-ヒドロキシキノリンやアンモニウムピロリジンジチオカルバミン酸によりあらかじめ疎水性キレートに変換することにより,濃縮が可能となった.また,水溶性の荷電金属キレートは,適当な対イオンを用いることにより濃縮できた.凝集相は少量の有機溶媒に溶解後HPLC,黒鉛炉原子吸光法,ICP-MSなどで分析した.温度感応性高分子を用いる濃縮法は,微量成分分析のほかに工場排水の浄化法としてもその有用性が期待されている.
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