In vivo 光イメージング―光技術を駆使したシグナル伝達研究
2010
2008 年度ノーベル化学賞受賞者の下村 脩博士が緑色螢光蛋白質(GFP)を発見してから 50 年経た現在,新しい螢光・発光蛋白質や螢光色素の発見やその改良,レーザーや光学検出系などの光学機器の性能の飛躍的向上により,in vivo 光イメージング技術が急速に発展しつつある.この技術は複雑かつ多様な生命現象を動物が生きたまま解析することを可能にし,ポストゲノム時代の遺伝子,分子や細胞の包括的研究を加速させると期待されている.しかし一方で,生体組織の光イメージングにおいては光の吸収や散乱などのためにさまざまな問題が生じ,とくに深部での観察が難しいという欠点がある.そこで本稿では in vivo 光イメージング技術の現状と展望について,著者らの癌と TGF-βシグナル研究におけるデータを紹介しながら,その問題点と将来の可能性を探る.
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