Hyperbilirubinemia Associated with Sepsis in the Elderly.
1992
敗血症に伴う高ビリルビン (以下, 高 Bil) 血症を中心とする肝機能異常の頻度, 特徴を明らかにするため, 高齢者敗血症例について検討した. 過去5年間に臨床所見, 血液培養により敗血症と診断された60歳以上の剖検例117例のうちから, 肝・胆道疾患, あるいは肝機能異常を呈しうる心疾患,血液疾患合併例など48例を除いた, 69例(男38例, 女31例, 平均79.8±8.5歳) を対象とした. このうち, 血清総ビリルビン値(T-Bil) 2mg/dl以上を示した例は, 4例 (男2例, 女2例, 平均82.7±8.7歳) であり, 対象69例中の5.8%を占めた. これら4例の最高T-Bil値は, 平均4.1mg/dl (2.3~5.3) であった. T-Bil最高時では, T-Bilの上昇に比べGOT, GPT, LDHあるいはALPの変化は軽微であり, 特異な肝機能異常パターンを示した. 高Bil血症例の剖検肝の病理組織所見では, 類洞内および門脈域の好中球, 小円形細胞浸潤像とともに, 毛細胆管の胆汁うっ滞像, 偽胆管増生, クッパー星細胞の動員などの像も認められたが, いずれもその程度は軽度であった. 分離菌種では, 4例中3例にグラム陰性菌, 1例にグラム陽性菌を認めた.これらの所見は, 欧米での成人例報告とほとんど一致し, 高齢者に特有の現象とは考え難い. しかし,高齢者の敗血症例を診ることは多く, 高齢者の発熱を伴う高 Bil 血症例を診療する際には, 敗血症例に由来する高 Bil 血症例の存在を念頭に置くことが重要と思われる.
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