各種肝疾患における血清type III procollagen peptide (PC-III-NP)の臨床的検討-とくに原発性胆汁性肝硬変及び肝細胞癌を中心として-

1985 
各種肝疾患における血清中のtype III procollagen N-peptide (PC-III-NP)濃度をRIA法にて測定し,原発性胆汁性肝硬変ならびに肝細胞癌を中心に検討した.健康成人では血清PC (III)NP値は6.6±2.6ng/mlであった.急性肝炎では急性期では高値(34.1±11.7ng/ml)を示すも回復期(15.6±4.0ng/l)では正常化する傾向を示した.慢性肝疾患では肝の線維化の程度よりも線維化の活動性をよく反映していた.原発性胆汁性肝硬変では35.5±24.3ng/ml,と有意の高値を示し,また,病態の進行に従って増加する傾向を認めたところから本症での上昇機序としてPC (III) NPの胆汁中への排泄障害が示唆された.肝細胞癌では40.6±43.1ng/mlと有意の高値を示したが,血清AFP及びFerritin濃度との相関は認められなかった.しかし,肝腫瘍の占拠率の増大につれてPC (III) NPは増加する傾向を示し,肝癌組織内でのtype III collagenの産生が示唆されたが,腫瘍マーカーとしての意義をもたすには60ng/ml以上が妥当と考えられた.
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