2,3-ジケト-L-グロン酸のカルボニル基に起因する直流ポーラログラフ還元波

1993 
各種緩衝液中での直流ポーラログラフィーの還元波に及ぼす2,3-ジケト-L-グロン酸(DKG)のカルボニル基の水和及びカルボキシル基の解離について検討を行った.酸性,中性,アルカリ性の各種pHの緩衝溶液中におけるDKGの直流ポーラログラムから3種の異なった還元波A,B,Cが観察された.酸性溶液では,還元波A(E1/2=-0.63Vvs.SCE,pH4.0)のみが大きく認められ,中性溶液では減少するが,新たに還元波B(E1/2=-1.11Vvs.SCE,pH6.5)が大きくなった.アルカリ性溶液中では,還元波Bの減少に伴い,還元波C(E1/2=-1.02Vvs.SCE,pH10.8)が認められた.サイクリックボルタンメトリーではこれらの還元波に対応する酸化ピークは認められず,非可逆反応であった.又,無酸素中性及びアルカリ性溶液中でDKGから二つのエンジオール型のジケトグロノ-δ-ラクトンは,中性溶液中では3,4型が,アルカリ性溶液中では2,3型のものが多く生成された.これらのことより,酸性溶液中で認められる還元波はDKGの一つのカルボニル基が水和したもの,中性溶液中のそれはカルボキシル基が解離型でカルボニル基が水和したもの,アルカリ性溶液中では,カルボキシル基が解離し,かつカルボニル基の非水和に対応したDKGに由来する還元波と結論される.
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