異なった光環境のもとで生育した数種の樹木の光合成能 : 光-光合成曲線の解析

1992 
異なった光環境の下で育てた林木の光合成能を解析して耐陰性の種特性を明らかにするために, クヌギ, ケヤキ, アラカシ, マテバシイの1年生実生苗と8年生のモミ幼樹に対して庇陰処理を施した実験をおこない, 光-光合成曲線を経時的に観測, 測定した。実験は1987年4月から愛媛大学農学部附属演習林東野試験地でおこない, 100%, 50%, 25%, 12.5%及び5%の5段階の庇陰処理をおこなった。光-光合成曲線を直角双曲線式を用いて解析した結果, クヌギでは光-光合成曲線の初期勾配“b”には変化が認められなかったが, 光合成速度の飽和値“b/a”は低照度区で低下した。一方, ケヤキ, モミ, アラカシでは“b”が低照度区で大きくなったのに対し, “b/a”はほとんど変化しなかった。マテバシイは低照度区で“b”が大きく, “b/a”は小さくなった。光-光合成曲線の解析結果からケヤキ, モミ, アラカシは弱光適応性が増加しかつ強光適応性を低下させない樹種であり, 耐陰性の高い樹種, マテバシイは弱光適応性が増加したが, 強光適応性を低下させる樹種, クヌギは弱光適応性が増加しないにもかかわらず, 強光適応性を低下させる樹種で, 耐陰性の低い樹種であるとの結論に達した。
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