わが国で最初の出生コホート“環境と子どもの健康に関する北海道スタディ” ─ ライフコースアプローチに基づく成果を中心に

2020 
わが国ではじめての前向き出生コホート研究“北海道スタディ”を2001 年に立ち上げた.現在,幼少期でみられた影響をライフコースアプローチで追跡している.出生後の生活環境を調べ,一番長い追跡の児は17 歳である.これまで母体血中の残留性有機汚染物質としてダイオキシン類(PCDD,PCDF など),ダイオキシン様ポリ塩化ビフェニル29 種類(同族異性体),有機塩素系農薬,有機フッ素化合物(PFAS),さらにプラスチック可塑剤DEHP やBPA などの濃度を測定し,生まれた児の出生体重やアディポカイン,6 カ月・18 カ月時のベイリー乳幼児発達検査Ⅱの得点,認知機能,アレルギーや感染症などの免疫系,甲状腺ホルモンや臍帯血の生殖系ホルモン,必須脂肪酸への影響などを認めた.加えて,遺伝的感受性素因や健康影響発現のメカニズムとしてのエピゲノム解析も進めている.今後,将来の疾病発症の早期予測と予防,治療につなげる必要がある.コホートの長期継続とデータの有効活用,これまでの成果を環境・健康政策へ活用する重要性を強く訴えたい.
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