人獣共通感染症―近年の状況・対策・課題

2011 
近年,多くの人獣共通感染症が発生し,社会的・経済的な被害が大きくなっている.この背景には,グローバル化に伴う自然環境・社会環境の変化があると考えられる.ヒトと動物の健康はこうした環境変化の影響を受けながら相互に依存しあい,年々その結びつきを強めているといえる.このような認識に立ち,公衆衛生・動物衛生・野生動物関係部門の協力により,人獣共通感染症に取り組む動きとして,“One World,One Health”というコンセプトが注目を集めている.現在,このコンセプトに実効性をもたせる方向で,国際的には部門間・組織間のさまざまな連携策が探られている.一方,日本では感染症法,狂犬病予防法,家畜伝染病予防法を中心としたさまざまな法的枠組みのなかで人獣共通感染症対策が進められている.今後は,公衆衛生・動物衛生・野生動物関係部門間の連携や,これらの部門にまたがる専門家の育成など,部門横断的に協調して人獣共通感染症対策を実施する仕組みの整備が必要である.
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