維持透析導入後も18年間MPO-ANCA高値が持続し,肺胞出血で再燃した顕微鏡的多発血管炎の1例

2009 
維持透析導入から18年間のMPO-ANCA高値持続後に,肺出血と強膜炎で再燃した顕微鏡的多発血管炎の1例を報告する.症例は60歳,女性.1986年に尿蛋白,尿潜血を指摘され,腎生検で半月体形成を伴う巣状壊死性糸球体腎炎を認めた.1990年2月,急速進行性糸球体腎炎および肺出血を呈し入院.顕微鏡的多発血管炎と診断され,ステロイドパルス療法を施行.肺出血は改善したが,腎不全は改善なく維持透析導入となった.この時のMPO-ANCAは260EUと高値で,その後血管炎症状を認めないものの,以降18年間MPO-ANCAは200~500EUと高力価陽性が持続した.2008年1月,咳・全身倦怠感が出現し,胸部X線上,両肺野に広範なびまん性微細粒状影を認め入院.胸腔鏡下肺生検にて,肺胞出血と診断された.肺胞出血の発症時期を検討したところ,臨床的には無症状かつ炎症所見も認められなかったが,胸部X線写真を確認しえた2005年以降より軽度の肺微細粒状影が認められ,軽微な肺出血を反復していたと考えられた.ANCA高値が持続する維持透析症例では,臨床的に寛解と考えられていても長期間を経てから再燃する可能性があり,特に症状に乏しく慢性に経過する肺胞出血の出現に留意し注意深く経過を追う必要があると思われる.
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