転移・再発膵癌に対するゲムシタビン塩酸塩+ナブパクリタキセル併用療法の経験

2016 
欧米で施行されたゲムシタビン塩酸塩+ナブパクリタキセル併用療法(GEM+nabPTx)の無作為第Ⅲ相試験で生存期間の延長が認められたことから,本邦でも遠隔転移を有する膵癌に対する一次化学療法としてFOLFIRINOX 療法またはGEM+nabPTx が推奨されている。対象と方法: 2014 年12 月〜2016 年3 月までに11 例の転移または再発膵癌に対してGEM+nabPTxを施行した。nabPTx 125 mg/m2を30 分,GEM 1,000 mg/m2を30 分で投与した。週1 回投与を3 週間連続の後に4 週目は休薬し,これを繰り返した。結果:年齢65.6(48〜75)歳,男女比8:3,PS(ECOG)0 が10 例,全例StageⅣbで,T4N2M0 が1 例とTxNxM1が10 例,初発遠隔転移6 例と遠隔転移再発4 例と局所リンパ節再発が1 例,前治療なし4 例とありが7 例であった。投与期間は10.2(2〜41)週であった。GEMとnabPTxの総投与量とrelative dose intensityは各々,5,636(1,000〜25,000)mg/m2と87.5(62.9〜100)%,731.8(125〜3,125)mg/m2と90.6(66.7〜100)%であった。有害事象は,Grade 3 以上の血液学的毒性は白血球減少54.5%,好中球減少36.4%,貧血27.3%,血小板減少18.2%であった。Grade 2 以上の非血液学的毒性は全身倦怠45.6%,皮疹27.3%,末梢神経障害9.1%,食欲不振9.1%,口内炎9.1%であった。間質性肺炎はなかった。最良治療効果はPR 1 例,SD 9 例,PD が1 例で,奏効率9.1%,病勢コントロール率は90.9%であった。6 か月無増悪生存率25.7%,6 か月全生存率は66.7%であった。結語:遠隔転移を有する膵癌に対してGEM+nabPTxは安全に施行でき,有効な治療選択になると考えられた。
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