Familial Cases of Trichophyton tonsurans Infection

1988 
新潟県内で, 3歳女児とその祖母62歳の black dot ringworm 型頭部白癬, およびこれらの治療終了後に出生した, いとこの5ヵ月男児の体部白癬症例が観察された. 女児にも体部白癬が合併していた. 全例からほぼ同様な性状の真菌が分離された. これらの菌株の初代培養は表面紫紅色で, 継代すると白色絨毛状となった. また3菌株とも thiamine 添加培地での発育促進は明らかではなかったが, 尿素分解能陽性, コーンミールおよびオートミール培地では紅色色素産生はなく, 毛髪穿孔試験では穿孔を認めなかった. 顕微鏡的形態も3菌株ともほぼ同様で, 隔壁のある菌糸に長短の細長な小分生を豊富に産生した. 培養2週目では多数の介在性厚膜胞子の産生があり, また yeast extract 添加培地での大分生子の産生促進はみられなかったが, 培養1ヵ月の標本にごく少数の大分生子を認めた. 以上の所見からこれらの菌株を Trichopyton tonsurans と同定した. この3症例は新潟県内で確認された最初の T. tonsurans 感染症である. なお祖母とその三女 (男児の母) には以前に紫色調の強い真菌が分離された体部白癬の既往があるが, 菌株が残っておらず菌種は不明であった. またこの家族は福岡からきた一家と約3年間の交際があった. したがって自験症例の原因菌が九州から移入されたものか, 北陸地方に以前から存在していたものかは不明であった.
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