シアノコバルト(II)錯体によるブタジエンの選択的水素化反応

1965 
水溶液中のシアノコバルト(II)錯体を触媒とするブタジエンの各種ブテン異性体(1-ブテン, trans-2-ブテン, cis-2-ブテン)への選択的水素化反応を研究した。溶液中のCN/Co比が5.1-5.2以上では1-ブトンが選択的に生成し,以下ではtrans-2-ブテンが選択的に生成する。cis-2-ブテンはCN/Co比にほとんど関係なく数mol%の生成にすぎなかった。この溶液に水酸化カリウムをKOH/Co=3.0添加すると選択性の変化を与えるCN/Co比が4.9-5.0に移動した。シアノコバルト(II)錯体の触媒組成がCN/Co=5.0および5.1のとき,水酸化カリウムを含まない場合はtrans-2-ブテンが主生成物であったが, CN/Co=5.0のときKOH/Co=3.0以上, CN/Co=5.1のときKOH/Co=0.5以上の水酸化カリウムを含有するとそれぞれ主生成物は1-ブテンとなった。この現象はシアノコバル(II)錯体を水素化してからブタジエンを導入した場合に起り,ブタジエンを導入したのちに水素化した場合には観察されなかった。水素なしでシアノコバルト(II)錯体水溶液にブタジエンを導入しても生成物中にブテン類を検知することができた。この場合選択性に変化を与えるCN/Co比は水素のある場合のそれと同一であった。しかし水酸化カリウムの添加効果はほとんど認められなかった。
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