切除不能・再発進行肝細胞癌に対するCDDP 肝動注化学療法の検討

2010 
切除不能・再発進行肝細胞癌に対しては肝動脈化学塞栓療法(TACE)が行われているが,TACE 無効症例や適応外症例に対する有効な治療はいまだ確立されていない。これらの症例に対しわれわれは動注用CDDP を用いた肝動注化学療法(TAI)を施行してきたが,本稿ではその治療成績を検討するとともに,同治療が著効した門脈内腫瘍栓を伴う高度進行肝細胞癌の1 例を提示する。対象は2004 年11 月〜2010 年3 月までにCDDP によるTAI を行った切除不能・再発進行肝細胞癌16 例で,7 例に門脈腫瘍栓,1 例に胆管内腫瘍栓を伴っていた。動注用CDDP(65 mg/m2)は固有肝動脈から30 分かけて動注した。TAI 施行回数は1〜8 回(平均1.8 回),治療効果はTE4: 1 例,TE3: 2 例,TE2: 1 例,TE1: 11 例,評価不能: 1 例で,奏効率は18.8%であった。有害事象は,血液・骨髄毒性はなく,grade 3 の悪心,食欲不振を各1 例ずつ(6.3%)認めた。TAI 後の累積生存率は,1 年生存率31.2%,50%生存期間は314 日であった。本療法は切除不能・再発進行肝細胞癌に対するTACE 後の二次治療として,予後改善への寄与が期待される。
    • Correction
    • Source
    • Cite
    • Save
    • Machine Reading By IdeaReader
    0
    References
    0
    Citations
    NaN
    KQI
    []