膵粘液性嚢胞腫瘍(MCN)との鑑別に苦慮した中年女性の膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMT)由来浸潤癌の1 例

2012 
症例は57 歳,女性。エコー,MRI にて膵尾部嚢胞性腫瘤を指摘され当院初診。腹部に圧痛や腫瘤は触知せず。造影CTにて膵尾部に壁内不整結節を伴う8 cm 大の嚢胞性腫瘤を認めた。悪性膵粘液性嚢胞腫瘍(MCN)を疑い手術を施行。開腹すると膵尾部に嚢胞性腫瘤を認め,炎症による硬化が著明で胃後壁に広範囲に癒着していた。胃から剥離し,膵体尾部脾切除術を施行。病理では嚢胞壁の背側が肥厚し,浸潤性膵管癌であった。卵巣様間質を認めず,浸潤部周囲にはPanIN 1~3 の膵管上皮異型を認め,膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMT)由来浸潤性膵管癌と診断した。病期はpT3pN0M0, fStage III。術後補助化学療法を施行するも,多発肺転移を来した。IPMN/MCN 国際ガイドラインではほとんどの例でIPMN とMCN を術前に鑑別することが可能と記載されているが,難渋する例も散見される。術前に膵MCN との鑑別が困難であったIPMT 由来浸潤癌の1 切除例を経験したので報告する。
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