ポリ(フッ化ビニリデン)の放射線橋かけに対する分子運動の影響

1975 
ポリ(フッ化ビニリデン)の放射線橋かけに対する照射温度および照射後の熱処理の効果を検討し,広幅NMR測定から求めた分子鎖セグメントの運動との関連を考察した。照射温度が高いほどゲルの生成が多くなった。しかし,橋かけの活性化エネルギーは50℃前後で異なり,50℃以上の高温では50℃以下よりも小さな値となった。一方,主鎖切断の活性化エネルギーは50℃以下では0であったが,50℃以上では負の値となった。照射後熱処理すると,結晶中に捕促されていたラジカルが減衰し,ゲル分率が増加した。ゲル分率の増加は熱処理温度が高いほど大きくなり,ESRにより求めたラジカルの減衰挙動と一致した。活性化エネルギーに変化が起こる50℃は,NMRからの知見によれぽ室温付近から開始する非晶部分子鎖のミクロブラウン運動が活発になる温度であった。このミクロプラウン運動によって,主鎖切断の型ラジカル-CH2-CF2,および-CF2-CH2。と側鎖切断型ラジカル-CH2-CF-CH2-との末端結合が容易となり,橋かけと主鎖切断が抑制されると考えた。
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