【副作用】 免疫チェックポイント阻害薬による下垂体障害・下垂体炎

2017 
免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連有害事象(irAEs)は全身の臓器で認められ,大腸炎,肝炎,間質性肺炎,皮膚炎,神経・筋障害,内分泌障害などが報告されている.死亡に至る重篤な症例も報告されていることから,適切な対応がきわめて重要となる.irAEs のなかでも内分泌障害は比較的頻度が高い.障害される内分泌器官は多様で,下垂体,甲状腺,副腎皮質,膵,副甲状腺の障害が知られており,それぞれに異なる対処法が必要である.下垂体障害の頻度は細胞傷害性T 細胞抗原(CTLA)-4に対する抗体であるイピリムマブで4~10%程度,programmed cell death(PD)-1に対する抗体で1%未満と報告されている.下垂体前葉機能障害および下垂体腫大を呈する症例は臨床的に下垂体炎と考えられる.内分泌学的には副腎皮質刺激ホルモンの障害がもっとも高頻度で認められ,診断が遅れると副腎クリーゼとなりうる重篤な副作用である.抗PD-1抗体または抗CTLA-4 抗体による下垂体障害・下垂体炎の症例報告から,両者の臨床的特徴に違いがあることがわかってきた.本稿では,抗PD-1抗体または抗CTLA-4抗体による下垂体障害・下垂体炎について,臨床的特徴をそれぞれ解説し,これまでの報告から明らかになってきた両者の相違点について考察する.
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