関節リウマチの肘関節破壊例に対する非拘束型人工肘関節全置換術(モジュラー型新潟‒瀬波‒京セラ)の臨床成績

2020 
目 的:人工肘関節全置換術は,関節リウマチ(RA)例の疼痛かつ不安定性の高度な肘関節破壊例に対して行われる治療手技である.筆者らが独自に開発した非拘束型人工肘関節全置換術(モジュラー型新潟—瀬波—京セラ:MNSK)の臨床成績を評価した. 対象および方法:RA 75 肘[平均年齢64(41~79)歳]にNSK 人工肘関節全置換術を行った.術前後の日本整形外科学会肘機能評価法(JOA 肘スコア),肘関節可動域を評価した. X 線学的評価として,上腕骨コンポーネントのbone ingrowth および応力遮蔽の頻度,尺骨コンポーネント周囲の弛みの頻度を評価した.合併症およびインプラントの抜去をエンドポイントとした際の生存率を評価した. 結 果:平均経過観察期間は5.2±3(2~11.3)年であった.JOA 肘スコアは術前42 点から術後87 点に有意に改善した(p<0.001).上腕骨コンポーネントのbone ingrowth は全例で得られていた.上腕骨コンポーネントの応力遮蔽は11 肘(14%)でみられ,上腕骨コンポーネントステムが10 mm および9 mm であった場合は,8 mm であった場合に比較して有意に高頻度で認められた(p=0.0008).尺骨コンポーネントは,感染のため抜去を要した1 例を除き弛みを生じた症例はなかった.合併症は9 例9 肘(12%)でみられ,インプラント周囲感染3 肘,インプラント周囲骨折4 肘,脱臼2 肘であった.5 年生存率が97%,10 年生存率が93%であった. 結 論:MNSK はRA 肘関節破壊例に対して良好な中期成績を示した.上腕骨コンポーネント周囲の応力遮蔽は上腕骨ステム8 mm 径を用いることで回避できることが明らかになった.
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