確かな学力の育成 : 国語基本教材の授業アプローチの方法『少年の日の思い出(ヘルマン・ヘッセ)』の場合

2009 
中学校の国語基本教材『少年の日の思い出』に対する中学生の反応を分析し, どんな授業アプローチによって, 小説を読む力が定着したかを探った。反応としては, 語句の意味だけにしか引っ掛かりを感じていない生徒は, 文学に関しての読解力が低い生徒であった。60年以上も前の翻訳文学で難しい語句はあるが, そのことは特に読解を妨げるものではなく, むしろ読解の糸口ともなるものである。部分にこだわった読みではなく, 表現全体や前後の脈略を意識しながら読む方法を身につけていけばよいのではないか。また, 本文に注意深く着目させる工夫をしたり, 課題について自分の考えを小グループや全体で交流する, その際本文を根拠とし, 説得力のある意見にしていくよう指導していくことが重要である。また, 本教材であれば登場人物の役割, 語りの構造, 情景描写, 内面描写などを読みの着眼点として, それらが力として定着するよう授業構想すべきである。帯を書くという行為により, 客観的な読みが成立しえたように, テクストの作り手と対話し, 交渉しながら読む力を, カリキュラムに組み込んで, 日々の積み重ねで確かに定着するようにしていくべきである。
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