生薬成分「桂皮」によると推測される薬物アレルギー性肝炎の1症例

1985 
市販の感冒薬「改源」服用後に発疹および肝内胆汁うっ滞の症状を呈した1症例に遭遇したので報告する.症例は31歳の女性で,発熱および咽頭痛のため「改源」3包(2,100mg)を2日間内服した.その後,発疹,全身倦怠感,食思不振を訴え,ついで黄疸が出現した.この黄疸はさらに増強し,GOT, GPT, Alk-P, LAPおよびγ-GTPの上昇がみられたために入院したが,黄疸消失後もAlk-P, LAPおよびγ-GTPは高値を持続した.肝生検像では,主として小葉中心帯に胆栓および肝細胞内に胆汁色素を認め,また,グ鞘に軽度の細胞浸潤を認めた.患者末梢血単核細胞を分離して,キャリア蛋白とともに改源に含まれている桂皮末を加えて培養する際,インターロイキン-2を添加すると,リンパ球幼若化反応が陽性に発現した.このため,本症は桂皮成分による薬物アレルギー性肝炎と診断した.
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