ユビキチン・プロテアソームとうつ病様行動―ユビキチン化セロトニントランスポーターを指標とした診断薬の開発

2013 
うつ病とは慢性的な意欲の低下,無価値感,自殺念慮などの症状を示す病である.うつ病の診断はおもに問診で行われ,うつ病の早期発見,適切な治療を行うために診断バイオマーカーが求められている.抗うつ薬の作用機序や臨床知見から,セロトニントランスポーターの機能はうつ病に深く関与していると考えられる.著者らは,ユビキチン・プロテアソームシステムに関与するMAGE-D1 が欠損すると,セロトニントランスポーターのユビキチン化を介した代謝の低下によりセロトニントランスポーターが増加し,十分なセロトニンによる神経伝達が行われなくなり,うつ様行動が認められることを明らかにした.セロトニントランスポーターは中枢神経に限らず血小板およびリンパ球を含む白血球などからも検出され,その活性は脳との相関が認められることから,末梢血中のセロトニントランスポーターのユビキチン化のレベルをうつ病診断の指標にすることが期待される.
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